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無形文化遺産 能楽で最古の歴史を持つと言われるシテ方金春流(こんぱるりゅう)
最新情報をお届けします。

News & Topics

能楽で最古の歴史を持つと言われるシテ方(してかた)金春流(こんぱるりゅう)の最新情報をお届けします。

6月26日(土)円満井会定例能

〈加茂・角田川・熊坂〉

2021年6月26日(土)円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂 終演18:30頃
第一部12:30~〈加茂〉柏崎真由子 ツレ村岡聖美
第二部14:40~〈角田川〉本田芳樹 子方:片野一郎
第三部16:50~狂言〈瓜盗人〉三宅右矩 〈熊坂〉岩松由実 

〔update 2021.06.19(土)〕

6月19日(土)第27回櫻詠会
〈小袖曽我〉澤翼 ツレ雨宮悠大

2021年6月19日(土)第27回櫻詠会 14:00~矢来能楽堂 「小袖曽我」澤翼 ツレ雨宮悠大 狂言「千鳥」山本則重

〔update 2021.06.06(日)〕

小袖曽我 こそでそが

〈小袖曽我〉は上演頻度の多い人気曲です。あらすじから見てゆきましょう。「父の仇討ちを前に曽我十郎祐成・五郎時致(時宗トモ)兄弟が母を訪れます。五郎は母の意向に背き出家をせず元服したため勘当されていました。しかし、祐成の説得により母は勘当を解きます。兄弟は母と喜びの盃を交わし、舞を舞い敵のいる狩場に向かう」という内容です。          

〈小袖曽我〉は仇討ち物であらすじに見る通り分かりやすい筋立てです。ただ、能では描かれていない背後の人物関係はやや複雑なので整理しておきましょう。

 工藤左衛門尉祐経が父の工藤祐継から相続するはずだった所領を従弟の伊東祐親に横領されてしまいます。祐親を恨んだ祐経は祐親を狙って傷つけます。そして、その場にいた祐親の子である河津三郎祐泰が、祐経配下の大見小藤太と八幡三郎が放った矢により射殺されます(その後二人は伊東方に討たれます)。その殺された河津三郎祐泰の子が、十郎祐成・五郎時致・九上の禅師でした。父の死後、母が曽我祐信と再婚したため、姓が河津から曽我に変わりました。

 五郎時致は父の菩提を弔うため母から出家するよう命じられていました。しかし、父の仇討ちを果たすため出家をしなかったため母から勘当されていました。〈小袖曽我〉では母からの勘当の許しを願う兄弟の心理と母の情が細やかに描かれています。仇討ち物ですが母に許された兄弟による喜びの相舞が見どころです。  

 史実では兄弟は仇討ちを果たしますが、十郎祐成はその場で討たれ、五郎時致は後日、斬首の刑に服しています。この曽我兄弟による仇討ちは「曽我物」として、能や歌舞伎などでも描かれ、能では〈小袖曽我・夜討曽我・元服曽我・禅師曽我・調伏曽我(上記三曲金春流にナシ)〉が演じられていますが、廃曲を含めると二十曲程の「曽我物」の曲があり、人気の高さが伺えます。

 〈小袖曽我〉の作者は未詳ですが作者付史料『自家伝抄』には宮増作とあります。また、『能本作者註文』に「作者不分明能 但シ大略金春能か」とありますが、詳しくは分かりません。〈小袖曽我〉は『曽我物語』の「小袖乞の事」を典拠としていますが、能では曲名にもなっている小袖については触れられていません。理由は省略説など諸説ありますが不明です。なお、ワキが登場しないのも異例です。

 仇討ちは古来から慣行としてしばしば行われていました。しかし、鎌倉幕府が定めた「御成敗式目」で仇討ちは禁止され、室町時代には「建武式目」が制定されましたが、これは「御成敗式目」の追加法という位置づけでもあり、室町時代も仇討ちは法制上禁止されていました。その仇討ちが条件付きで認められるようになったのは江戸時代になってからのことでした。なお、仇討ちを果たした者への報復は禁止されていました。仇討ちが禁止されるのは1873年(明治6)になってからです。現在でも「仇を討つ・敵をとる・仕返し・親の敵」と言った表現が残っています。テレビの地上波のゴールデンタイムで時代劇が「大河ドラマ」しかなくなった現在、能の仇討物はその歴史を伝える貴重な存在になるかもしれません。

〔update 2021.06.05 能楽研究家後藤和也〕

6月6日(日)金春会定期能
〈春日龍神・杜若・葵上〉

2021年6月6日(日)金春会定期能 12:30~国立能楽堂 16:45頃終演予定

12:30~〈春日龍神〉森瑞枝 狂言〈文荷〉大藏彌太郎
14:00頃~〈杜若〉長谷川純子 
15:40頃~〈葵上〉梅井みつ子 ツレ村岡聖美

〔update 2021.05.24(月)〕

7月19日(月)座・SQUARE
〈夕顔〉井上貴覚 〈大会〉山井綱雄

「座・SQUARE 
第24回公演 〜がんばろう、能楽!〜」

2021年7月19日(月)17:30開演 国立能楽堂
5月19日(水)チケット発売開始       

能〈夕顔〉
シテ 井上貴覚
ワキ 殿田謙吉
間     山本則重
笛   藤田貴寛
小鼓 田邊恭資
大鼓 柿原光博    
後見:金春憲和/本田光洋      
地謡:髙橋忍/金春穂高/辻井八郎/本田布由樹/政木哲司/後藤和也                     

狂言〈柿山伏〉     
シテ 山本泰太郎   アド山本 則秀    
〜休 憩〜   

能〈大会(だいえ)〉
シテ 山井綱雄 
ツレ 辻井八郎      
ワキ 舘田善博

笛  栗林 祐輔
小鼓 鵜澤洋太郎
大鼓 安福 光雄
太鼓  吉谷  潔       
間  山本則孝   山本凛太郎   若松  隆
後見 :金春安明/横山紳一        
地謡:中村  昌弘/本田芳樹/本田 布由樹/政木哲司/渡辺慎一/鎌田氏勝

 

〔update 2021.05.17(月)〕

5月14日(金)NHK Eテレ
「NHK にっぽんの芸能」
〈石橋 群勢〉のダイジェスト放送(シテ金春安明)

2021年5月14日(金)21:00~NHK Eテレ「NHK にっぽんの芸能―能の舞さまざま」で、2016年1月1日に放送された能〈石橋 群勢〉金春安明のダイジェストが放送されます。

再放送は5月17日(月)NHK Eテレ「NHKにっぽんの芸能」12:00~

 

〔update 2021.05.11(火)〕

5月26日(水)の大阪金春会は
8月25日(水)に延期

この度の緊急事態宣言延長(大阪府は緩和措置なし)により、2021年5月26日(水)開催予定の大阪金春会は、2021年8月25日(水)に延期することとなりました。

2021年5月26日(水)8月25日(水)に延期 大阪金春会 18:00~大槻能楽堂 解説「能の見かた」髙橋忍 舞囃子「高砂」髙橋忍 舞囃子「葛城 大和舞」金春康之 狂言「栗焼」善竹隆司 能「俊寛」金春穂高 ツレ金春飛翔/金春嘉織

〔update 2021.05.09(日)〕

能の「ツレ」

 先月4月4日(日)金春会定期能で上演された〈嵐山〉(シテ山井綱雄 姥:山井綱大 子守:村岡聖美 勝手:柏崎真由子)のツレは成人・子方、流儀により男神・女神の違いがあり幅のある役柄です。この機会に能に現れる「ツレ」についてまとめてみましょう。

 古い謡本には「連」とも表記されているように、シテに連なる役、随伴・従属する役の意で「シテツレ」と呼ばれますが、ワキ方にも「ワキツレ」があります。ちなみに、江戸時代の金春流謡本で現行謡本に続く『六徳本』以前は、金春流の役名表記は「して・してつれ(連)」などひらがなで表記するのが特色でした(観世はカタカナで役名を表記)。

 ツレにはいくつかのパターンがあります。〈安宅〉の同行山伏はシテに連なるシテツレの代表例です。また、〈清経〉の妻など舞台の展開に重要な働きをする例も少なくありません。さらに、〈蝉丸〉のようにツレがシテに並ぶほどの働きをする例もあります。曲名の〈蝉丸〉はツレの名前です。前回の〈嵐山〉は前場と後場で役柄も変わる例です。余談ですが、金春流は下居の際、シテは右膝を立てますが、ツレは左膝を立てて座ります。

 これまでの研究(表章氏「能の同(音)と地(謡)」など)によれば、もともと現在の地謡にあたる役はなく、シテとワキが一緒に地謡の部分を謡っていました。やがて、声量などの問題から筋立てに関係のないシテツレやワキツレを出し、立役全員で地謡を謡っていました。その後、地謡を謡う地謡役が出るようになりました。室町時代の後半にはシテが地謡から撤退し、江戸時代の中頃にはワキも地謡から撤退して行きました。それに伴いツレが地謡を謡うこともなくなりました。〈敦盛〉などのシテツレ役は地謡を謡っていた頃の名残かもしれません。

能楽研究家 後藤和也

〔update 2021.05.05(水・祝)〕

4月23日~5月6日
「長谷川愛展」でのインスタレーション
仕舞映像:八島(金春憲和)ほか

2021年4月23日(金)から5月6日(木)まで開催の「長谷川愛展」で、インスタレーション「技術死生学 思索能試作」を展示中です。内容は、仕舞映像:八島(金春憲和)・花筐クセ(森瑞枝)・伯母捨(金春安明)・卒都婆小町(山中一馬)・善知鳥(金春安明)+金春安明インタビューです。

展覧会名:長谷川 愛 展 / Ai Hasegawa – 4th Annunciation
会場:TERRADA ART COMPLEX Ⅱ 4F
会期:2021.4.23(金)- 5.6(木)※会期中無休
開館時間:12:00~20:00 ※全日程、最終入場は19:30(19:00-19:30 予約枠でのご入場)となります。
入場料:無料 ※日時指定予約制

⇒詳しくはこちら 

JST「人間ー技術死生学」プロジェクト(代表:渡部麻衣子。スペキュラティブ・デザイン グループ スペキュラティブ能班:長谷川愛・森瑞枝・小野純一)

自治医科大学のシュミレーションセンターで撮影した現代アート映像です。スペキュラティブとは思索、考えるきっかけ。解決ではなく問題提起を意図した、現代・未来のための実験を試みたものです。

〔update 2021.04.28(水)〕

第40回記念 大宮薪能
無観客 無料動画配信

〈翁〉金春憲和 〈羽衣〉本田光洋

第40回大宮薪能は新型コロナの影響により、無観客でのテレビ埼玉およびweb視聴(無料)となります。

〈翁〉 金春憲和
〈羽衣〉本田光洋

■テレビ埼玉特別番組

放送日:2021年6月12日(土)19:00〜(予定)

■YouTube配信

配信期間:2021年6月13日(日)〜2021年9月12日(日) 

 

〔update 2021.04.25(日)〕

6月26日(土)円満井会定例能

〈加茂・角田川・熊坂〉

2021年6月26日(土)円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂 終演18:30頃
第一部12:30~〈加茂〉柏崎真由子 ツレ村岡聖美
第二部14:40~〈角田川〉本田芳樹 子方:片野一郎
第三部16:50~狂言〈瓜盗人〉三宅右矩 〈熊坂〉岩松由実 

〔update 2021.04.18(日)〕

5月21日(金)・22日(土)
薪御能 春日・興福寺

2021年5月21日(金)・22日(土)の両日、奈良市で春日・興福寺古儀「薪御能(たきぎおのう)」開催。

5月21日(金)薪御能 11:00~春日大社舞殿 「翁(おきな)十二月往来」金春憲和

5月22日(土)薪御能 11:00~春日大社若宮社 「野守」金春穂高 
           17:30~興福寺南大門跡 「葛城」金春安明

 
〔update 2021.04.14(水)〕

金春流 櫻間家

2021年2月21日(日)の第61回式能で櫻間金記師により〈俊寛〉が演じられました。金春流の名家である櫻間家について、表章氏の「熊本能楽略史」を参考に見てゆきましょう。

金春安照の愛弟子である中村勝三郎(後に庄兵衛・少兵衛)が熊本の加藤清正公に仕えていました。その後、加藤忠広の時代に加藤氏は改易となり、細川忠利が熊本の領主となりましたが、中村家は引き続き細川氏に仕えました。この中村家に1668年(寛文8年)に櫻間木工之助(後に三右衛門)が中村家に入門しています。これが櫻間家の初代です。

中村家にはもう一つ弟子家があり、1628年(寛永5年)に友枝源三政次が中村家に入門しています。この後裔が喜多流の友枝昭世師です。二代将軍秀忠・三代将軍家光が喜多流びいきだったことが影響し、当時、徳川家のおかげで大名になれた外様大名の多くが徳川家に忖度し喜多流の役者を採用しました。現在でも地方で喜多流でお稽古をしている方が多いのは江戸時代の余慶と言われています。友枝家もその頃に金春流から喜多流へ転流したようです。

中村家は四代目正信の時代に芸事を分家の弟・中村庄右衛門正智に譲りました。以後、中村分家は謡初以外は能に携わりませんでしたが、それでも櫻間家は〈翁・乱・道成寺〉を舞う際には中村分家から伝授を受けており、櫻間家の家元的な存在でした。江戸時代には新座の大夫を櫻間家が、本座の大夫を友枝家が勤めていました。なお、分家・中村庄右衛門正智の後裔にあたるのが中村一路師です。

櫻間家は明治維新後、櫻間左陣師・櫻間弓川師・櫻間道雄師を始め名手が続出。現在の当主は櫻間右陣師です。初世金記師は左陣の弟で熊本・東京・名古屋・伊勢で活躍し謡巧者でした。二世金記師は左陣の外孫で熊本・京都で活躍、三世は二世の次男で俳優の名和宏氏。現在の櫻間金記師は四世にあたり名手の誉れが高いです。金春会だけでなく円満井会定例能でも金春流櫻間の芸を見たいものです。〔2021.03.01 能楽研究家後藤和也〕

〔update 2021.03.01(月)〕

金春円満井会
動画配信サイト開設

2021年1月、公益社団法人 金春円満井会は動画配信活動専門のアカウントを開設。

金春円満井会広報担当の本田布由樹氏と金春飛翔氏が投稿します。

⇒こちらからご覧ください。

 

〔update 2021.01.22(金)〕

2021年(令和3年)
円満井会定例能および金春円満井会特別公演の番組

いずれも矢来能楽堂 第一部12:30開演(開場12:00)
全席指定席 入場料 各部3000円(一括購入に限り全三部7500円)

01月30日(土)円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂
第一部 仕舞「淡路」金春飛翔 能「八島」安達裕香 ツレ林美佐 
第二部 仕舞「山姥」大澤久美子 能「東北」金春憲和 
第三部 狂言「千鳥」山本泰太郎 能「乱」中野由佳子 終演予定17:45頃

04月17日(土)円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂
「清経」金春憲和 「杜若」中村昌弘 能「石橋 古式」安達裕香

06月26日(土)2020年6月27日の振り替え公演 円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂 「加茂」柏崎真由子 「角田川」本田芳樹 「熊坂」岩松由実

09月25日(土)円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂

「巴」中野由佳子 「富士太鼓」村岡聖美 「阿漕」本田布由樹

11月20日(土)円満井会定例能 12:30~矢来能楽堂
「小鍛冶 白頭」本田芳樹 「玉葛」森瑞枝 「邯鄲」林美佐

※金春円満井会特別公演は、開催曜日・会場・入場料金などが通常の円満井会定例能とは異なります。詳細は別途ご案内いたします。
12月05日(日)金春円満井会特別公演 13:00~国立能楽堂
能「安宅」辻井八郎 狂言「仏師」大藏彌太郎 能「三輪 三光」金春穂高

〔update 2020.12.28(月)〕

2021年(令和3年) 金春会定期能の番組

いずれも国立能楽堂 12:30開演(開場11:45)
入場料 全自由席6,000円、25歳以下優待券(脇正面)2,500円

01月17日(日)
「高砂」本田布由樹 「東北」金春安明 「望月」山中一馬

02月25日(木)2020年4月5日の振り替え公演 「西王母」梅井みつ子 「井筒」長谷川純子 「鵺」森瑞枝

03月14日(日)
「忠度」佐藤俊之 「胡蝶」井上貴覚 「角田川」本田光洋

03月24日(水)2020年6月7日の振り替え公演 「老松」山井綱雄 「杜若」政木哲司 「鵜飼」髙橋忍

04月04日(日)

「嵐山」山井綱雄 「玉葛」伊藤眞也 「天鼓」櫻間金記

06月06日(日)
「春日龍神」森瑞枝 「杜若」長谷川純子 「葵上」梅井みつ子

09月12日(日)
「頼政」本田芳樹 「野宮」金春康之 「恋重荷」髙橋忍

10月03日(日)
「小鍛冶」中村昌弘 「浮舟」辻井八郎 「融」櫻間右陣

11月14日(日)
「橋弁慶」金春憲和 「半蔀」金春穂高 「鵺」政木哲司

〔update 2020.12.28(月)〕

「アートにエールを!」
金春流の能〈橋弁慶〉映像配信中

シテ中村昌弘

東京都の「アートにエールを!東京プロジェクト(ステージ型)」に採択された、金春流の能〈橋弁慶〉の動画を公開しています。

能〈橋弁慶〉シテ:中村昌弘 トモ:金春飛翔 子方:中村千紘

2020年11月14日(土)12:30~矢来能楽堂での円満井会定例能「橋弁慶」全曲(約42分)を収録したものです。なお、新型コロナ対応のため、地謡は覆面着用。

⇒こちらからご覧ください。

〔update 2020.12.18(金)〕

春日若宮祭と世阿弥生誕年

春日若宮祭は、毎年12月17日・18日に開催されますが、本年2020年の「春日若宮おん祭」はコロナ禍の影響により一部を縮小・非公開の形で行われます。

 室町時代、春日若宮祭は多武峰八講猿楽・興福寺薪猿楽と並び猿楽者(能楽師)の三大参勤義務の一つでした。この春日若宮祭は古来、種々の理由によりしばしば中止になることがありました。世阿弥時代の春日若宮祭の状況について、世阿弥の生誕年とあわせ、表章氏の「世阿弥生誕は貞治三年か」、『能楽研究講義録』を参考に見てゆきましょう。

 春日若宮祭などが中止となった原因に「神木動座」と「神木入洛」があります。興福寺が訴訟の際に有利に運ぶため、支配下にあった春日大社の御神体の鏡を真榊につけ、その神木を衆徒が京都の途中まで移すのが「神木動座」、神木を持って京都へ入るのが「神木入洛」でした。御神木の神威を借りて訴えを通そうという一種の強訴でした。平安時代以降、朝廷の公家は大半が藤原氏であり、その藤原氏の氏神が春日大社でした。そのため、神木動座や神木入洛があると藤原氏は神威を恐れ謹慎閉門してしまい、その結果、朝廷の政務も停止してしまう状態でした。春日大社の御神体が奈良にないわけですから当然、春日若宮祭も中止となります。

 ところで、世阿弥の生年は旧来は1432年(永享4)成立の世阿弥伝書『夢跡一紙』に「今七秩にいたれり」の「七秩」を「七十歳」と解し、そこから逆算して1363年(貞治2))生まれとするのが定説でした。この定説に対し、表氏は「七秩」が数年の幅を含む語であること、さらに、『申楽談儀』の「世子十二の年」の記事から世阿弥の生誕年が貞治3年であることを提唱されました。『申楽談儀』によれば、世阿弥が12歳の時に、春日若宮祭の前日にある「装束賜りの能」で田楽の喜阿弥の芸を見て感動したというものです。定説の貞治2年生まれとすると、「世子十二の年」は1374年(応安7)ですが、この年は前述した神木入洛が行われた年であり、春日若宮祭も中止となり、当然「装束賜りの能」もありません。したがって、この年は世阿弥が12歳の年ではないということになります。翌年の1375年(永和元)は春日若宮祭が行われています。注目すべきはこの前後数年間は春日若宮祭が中止になっていることです。つまり、「世子十二の年」は1375年(永和元)であり、そこから逆算すると、世阿弥の生誕年は1364年(貞治3)が正しいということになります。

 2013年(平成25)が旧説に従えば世阿弥生誕650年にあたり、国立能楽堂を始め各能楽堂・各流・各地で記念の催しがありました。翌年の2014年(平成26)には、国立能楽堂の企画公演で金春流の素謡〈翁〉と能〈当麻〉がありましたが、その催しのチラシには「世阿弥生誕650年Ⅱ」とありました。

〔能楽研究家後藤和也〕

〔update 2020.12.15(火)〕

金春宗家による
動画配信〈猩々〉仕舞の稽古

能楽 シテ方金春流八十一世宗家 金春憲和(こんぱるのりかず)師による〈猩々〉の仕舞の稽古動画です。

生徒は金春政和(宗家の弟)さんです。

出演:   金春憲和(能楽 シテ方金春流八十一世宗家)・金春政和
企画・制作:金春宗家(金春牧子・金春憲和・金春政和)
撮影・編集:金春 政和

〔update 2020.08.18(火)〕

金春宗家による
動画配信〈鍾馗〉謡の稽古・前編

能楽 シテ方金春流八十一世宗家 金春憲和(こんぱるのりかず)師による〈鍾馗〉の謡の稽古動画【前編】です。

生徒は金春政和(宗家の弟)さん、解説(声)は金春牧子(宗家の姉)さんです。

出演:   金春憲和(能楽 シテ方金春流八十一世宗家)・金春政和
企画・制作:金春宗家(金春牧子・金春憲和・金春政和)
撮影・編集:金春 政和

〔update 2020.08.04(火)〕

金春宗家による
動画配信開始

金春宗家(金春牧子・金春憲和・金春政和)によるYouTubeの動画配信が始まりました。初回のテーマは「金春流と他流の違いについて」です。

こちらをご覧の上、どうぞチャンネル登録を。

出演:   金春憲和(能楽 シテ方金春流八十一世宗家)
企画・制作:金春宗家(金春牧子・金春憲和・金春政和)
撮影・編集:金春 政和

なお、動画内で登場する「金春の能〈上〉中世を汲む」(著者:金春安明)はAmazonでも購入いただけます。

〔update 2020.07.26(日)〕

7月17日
重要無形文化財の保持者追加認定

2020年7月17日付けで、重要無形文化財の保持者の追加認定(総合認定)がなされました。

シテ方金春流からは、以下の4名が認定されました。
井上 貴覚(いのうえ よしあき)
政木 哲司(まさき てつじ)
本田 芳樹(ほんだ よしき)
本田布由樹(ほんだ ふゆき)

〔update 2020.07.17(金)〕

シテ方五流の関係

 まず宝生大夫と観世座の創設者・観阿弥が兄弟でした。金春禅竹は世阿弥の娘婿で観世と金春が親子関係でした。また、六世観世元広は金春禅鳳の娘婿で元広の子・重勝は宝生の養子となり宝生宝山として五世宝生宗家となっています。六世宝生勝吉は七世金剛氏正の子で金剛からの養子、十一世宝生友精は下掛宝生流三世宝生新次郎の子で下宝生からの養子、十二世友通は十八世金剛氏福の子で金剛からの養子、十三世友勝は十七世観世清尚の子で観世からの養子です。
 後年に金剛座から独立して喜多座を創設する金剛大夫の金剛三郎(後の北七大夫)は金春安照の娘婿でした。安照が金剛三郎に稽古をつけている記録が残っています。
 さらに観世座では八世観世元尚が五世宝生重勝の子で、十二世観世重賢は八世宝生重友の子で、ともに宝生座からの養子です。

 同様のことがシテ方以外の役にも見られます。こうして見てくると、立合能など競うべき時は激しく競いつつも能楽界が大きな家族として記録が残る室町時代以来、長きにわたり芸をつないで来たことを強く実感します。〔能楽研究家後藤和也〕

〔update 2020.07.08(水)〕

公益社団法人 金春円満井会から
ご寄付のお願い

 日頃より、公益社団法人 金春円満井会(こんぱるえんまいかい)の活動にご理解ご支援を頂きまして誠にありがとうございます。

 世界を席巻している新型コロナウイルスの感染拡大により、能楽界も深刻な打撃を受けております。2月末より約4ヶ月に渡り全ての能楽公演・講座・稽古は中止・延期を余儀無くされております。この7月から公演は順次再開の予定ではありますが、座席の市松模様による定員の半数に制限しての販売等、今後長期に渡るコロナ禍での苦しい活動を余儀無くされることが予想されております。

 能楽は伝承の芸術です。過去、応仁の乱や数々の戦乱、明治維新や先の大戦の苦境を、能楽金春流は生き抜いて参りました。

 当(公社)金春円満井会も、今期は大幅な減収が見込まれ、大変な経営的苦境に立たされております。しかしながら、ここで伝承の歩みを止めること無く、最大限の感染拡大防止に努めつつ、能楽金春流伝承の証である「定例能」公演を、8月10日(月・祝)の延期公演より、公演再開を目指し準備を進めております。

 しかしながら、定例能公演運営は、多くは主役(シテ)を勤める若手能楽師本人の寄付により成り立ってきた、という苦しい現況にありました。前述の通り、感染拡大防止の観点から、座席は市松模様での販売、三部総入れ替え制を検討しておりますが、公演収支の赤字発生は避けられない状況です。

 スポーツが試合を通じての鍛練を目指すように、舞台芸術もお客様の前での披露によって初めてその真の「花」を咲かせることが可能です。

 能楽金春流を未来に繋ぐ為に、定例能公演継続の為、(公社)金春円満井会活動継続の為、この危機的状況での皆様のご支援を伏してお願い申し上げる次第です。

 どうぞ宜しくお願い申し上げます。

(尚、当法人に対する寄付金は税制上の優遇措置が適応され、所得税や法人税の税額控除等が認められます。)

一口 五千円(複数口以上お願い出来ますと大変有難く存じます)

2020年(令和2年)7月

公益社団法人 金春円満井会 理事長 本田 光洋

寄付金お振り込み方法など、詳しくはこちらをご覧ください。

〔update 2020.06.30(火)〕

奈良金春会

76世金春広運(ひろかず)師の時代である1908年(明治41)に、第一回奈良金春会が催されました。今年で112年という歴史ある会です。金春流はもともと奈良を本拠地としていました。そのため、79世金春信高師が1956年(昭和31)に東京へ移住した後でも、1962年(昭和37)に奈良金春能楽堂が奈良に建設されました。現在は御分家の金春穂高家が奈良を拠点とされています。なお、今年は〈胡蝶〉を奈良金春会で復曲された金春信高師の生誕百年にあたる記念の年でもあります。

 
〔update 2020.04.07(火)〕

現代能狂言上演記録データベース

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館のデジタル・アーカイブ・コレクション「早稲田大学文化資源データベース」が公開されています。能楽の上演記録については「現代能狂言上演記録データベース

「演目」「上演主体名」「場所」「流派」での絞り込み検索が可能です。

金春流の場合
●「流派」金春
●「上演主体名」では例えば
金春会/金春円満井会/秀麗会/櫻間會/轍の会/金春円満井会定例能/大宮薪能/本田光洋後援会/櫻間金記乃会/座・SQUARE/金春康之公演会/汎謡会ほか
●「場所」では例えば
国立能楽堂/矢来能楽堂など

で検索できます。

〔update 2019.02.12(火)〕

【参考】2013年1月~2020年2月
上演されていない曲目

【参考】2013年1月~2018年12月に(能で)上演されていない、および2019年1月~2020年2月までに上演される予定のない能の曲目一覧(50音順)はこちらをご覧ください。上述期間「金春月報」に掲載の各月の演能記事をもとにした参考資料です。

〔update 2019.01.03(木)〕

▼以下は 金春流 恒例の特別行事です

毎年 5月第3金・土曜日  薪御能(たきぎおのう)   奈良 春日大社 興福寺

【薪御能(たきぎおのう)】毎年5月の第3金曜日・土曜日に行われる奈良の風物詩です。平安時代中期に興福寺で行われていた修二会(しゅにえ)の舞楽が起源と言われています。篝火(かがりび)が焚かれる中、演じられる薪能の起源になったとも言われています。

薪御能では1日目の午前中に春日大社の舞殿で咒師走りの儀(しゅしはしりのぎ)、2日目の午前中に春日大社の摂社・若宮神社で御社上りの儀(ごしゃのぼりのぎ)が行われます。1日目・2日目の夕方から興福寺の南大門跡で南大門の儀が行なわれます。この薪御能では金春流・大藏流・金剛流・観世流・宝生流が奉仕します。

 

2020年 開催中止

15日(金)薪御能 11:00~春日大社舞殿 「翁(おきな)十二月往来」金春憲和
15日(金)薪御能 17:30~興福寺南大門跡 「鵜飼」金春安明

16日(土)薪御能 11:00~春日大社若宮社 「頼政」金春穂高
 

 

5月 大宮薪能

2020年 開催中止

22日(金)第39回大宮薪能 17:40~大宮氷川神社 

23日(土)第39回大宮薪能 17:40~大宮氷川神社 

轍(わだち)の会

2019年6月30日(日)「轍の会」で〈角田川〉と〈通盛〉が演じられました。第1回「轍の会」は昭和55年10月10日でした。「轍の会」は当代きっての名手である本田光洋師と櫻間金記師が主宰する会です。古くから光洋師と金記師がお稽古を共にする機会があり、そこから周囲の後押しもあり「轍の会」発足へと繋がったとの事でした。2019年6月30日(日)は記念すべき40回目の公演でした。

〔update 2019.06.30(日)〕

7月 座・SQUARE記念公演

座・SQUARE 第23回公演は、2020年7月19日(日)国立能楽堂で開催。

〈自然居士(じねんこじ)〉辻井八郎 〈殺生石(せっしょうせき) 〉髙橋忍

 

毎年 8月7日   金春(こんぱる)まつり 銀座

銀座に金春通りがあります。江戸時代、金春家の屋敷が現在の銀座八丁目付近にありました。この屋敷は後に麹町善国寺谷に移りましたが、明治以降、金春の名は、銀座の金春屋敷付近の芸者屋街の名称や、金春湯などにその名を留めています。昭和54年に、この通りの商店で「金春通り会」が結成され、「金春通り」の名が復活しました。能楽金春祭りは、この金春通り会と金春円満井会の協力のもと、昭和60年に始まりました。金春通りでの演能、また、講演、能楽体験講座や能の写真、絵画展などが催されます。金春祭りでは、〈延命冠者、父の尉、鈴の段〉が奉納されます。いずれも、平和を願い泰平を祝福するめでたい曲です。

2020年8月7日(金)18:00~ 第36回 能楽金春祭り路上奉納能 開催中止

詳しくはこちら

10月 鎌倉薪能

2020年
10月09日(金)18:00~ 鎌倉 大塔宮 「未定」金春安明
10月10日(土)18:00~ 鎌倉 大塔宮 「未定」

毎年 12月17日・18日  春日若宮おん祭礼式能 奈良春日大社

【春日若宮おん祭】平安時代の保延二(1136)年に、時の関白藤原忠通が五穀豊穣、国家安寧を祈願し始められ、現在は重要無形文化財に指定されています。この祭礼では「遷幸の儀・暁祭・本殿祭」など数々の儀式と共に、猿楽(能)・神楽・東遊・田楽・細男・舞楽など種々の芸能が演じられます。また、芸能や祭礼に参加する人々が、華やかな衣装を着て都大路を、日使・巫女・細男・相撲・猿楽・田楽・馬長児・競馬・流鏑馬・将馬・野太刀他・大和士・大名行列の順で、都大路を練り歩く「お渡り式」も有名です。なお、最終日には後宴能が催されます。以下、能楽に関連する行事を中心に紹介します。

【お渡り式】華やかな装束に身を包んだ、総勢千余名に上る芸能集団や祭礼参加者の行列が、旧興福寺境内、現在の奈良県庁前広場を出発し、一の鳥居を入りすぐ南にある「影向の松」の前で、「松の下式」を行いお旅所へ向います。この様子は、華やかな風流の行列として、おん祭の大きな魅力の一つです。能は猿楽という古名で呼ばれ、現在は金春流のみが出仕しています。

【松の下式】春日大社一ノ鳥居の内に、影向の松があります。この松の下で〈開口・弓矢立合・三笠風流〉が演じられ、それが終わると地謡が附祝言(つけしゅうげん)を謡います。なお、お旅所へ参入する前に、金春大夫が柴の垣根に結んだ白紙を解いてから祭場へ入るのが習わしで、「金春の埒(らち)あけ」と言われる、有名な見せ場です。

【お旅所祭】お旅所には正面の一段高い所に若宮神の行宮があり、その前に小高い五間四方の芝舞台があります。お旅所祭は、おん祭の中心行事で、夜の10時半頃まで各種芸能が奉納されます。午後4時から神楽が舞われ、田楽・細男・猿楽・舞楽などが演じられます。猿楽は〈翁〉の略式である〈神楽式〉と、〈三番三〉を演じます。

2017年 東京国立博物館での所蔵品展示

カレンダー

2019年 62世 金春安照(やすてる) 生誕470年
2020年 79世 金春信高(のぶたか) 生誕100年
2021年 62世 金春安照(やすてる) 没後400年
                          金春円満井会法人化  35周年
2025年 57世 金春禅竹(ぜんちく) 生誕620年
2026年            金春円満井会法人化  40周年

能楽 金春流 情報サイト「金春ニュース」
NOHGAKU KOMPARU SCHOOL NEWS WEB

東京国立博物館所蔵

日本の伝統芸能であり、無形文化遺産にも登録されている能楽で最古の歴史を持つと言われる金春流の最新情報をお届けします。

最新の演能・イベントの開催情報・年間の予定表をはじめ、金春流の演目のあらすじや見どころの解説・金春流に関するこぼれ話などをご紹介いたします。

初めて能楽に触れる方から、いつも能楽・金春流を楽しんでいただいている皆様まで、幅広く楽しんでいただける情報を提供していきますので、ぜひご覧ください。

他言語での閲覧について

  • 言語を選んで、概要の理解にご利用ください▼アラビア語/イタリア語/スペイン語/ドイツ語/フランス語/ポルトガル語/ロシア語/英語/韓国語/中国語(簡体)
金春会定期能
2021年
6月6日(日)12:30開演
「春日龍神」森瑞枝
「杜若」長谷川純子
「葵上」梅井みつ子

9月12日(日)12:30開演
「頼 政」本田芳樹
「野 宮」金春康之
「恋重荷」髙橋 忍
円満井会定例能
2021年
6月26日(土)12:30開演
「加 茂」柏崎真由子
「角田川」本田 芳樹
「熊 坂」岩松 由実

9月25日(土)12:30開演
「巴」   中野由佳子
「富士太鼓」村岡聖美
「阿  漕」本田布由樹

矢来能楽堂

金春流の特別行事

薪御能
2021年5月 興福寺/春日大社
21日(金)薪御能 11:00~春日大社舞殿「翁 十二月往来」金春憲和
22日(土)薪御能 11:30~春日大社若宮社 「野守」金春穂高 17:30~興福寺南大門跡「葛城」金春安明
大宮薪能
2021年 第40回記念
6月12日~無観客 無料動画配信 大宮氷川神社
轍の会
2021年7月4日(日)
13:30~国立能楽堂 
「遊行柳」本田光洋
「通小町」櫻間金記
座・SQUARE
2021年7月19日(月)
17:30~国立能楽堂
「夕顔」井上貴覚
「大会」山井綱雄
金春祭り
2021年8月7日(土)18:00~
能楽金春祭り 銀座金春通り
路上奉納能 弓矢立合ほか
鎌倉薪能
2021年10月
8日(金)鎌倉宮境内 鎌倉・大塔宮
9日(土)
春日若宮おん祭り
2021年12月17日(金)・18日(土)
春日若宮御祭礼式能
奈良市春日大社
弓矢立合、神楽式ほか